『一日のスタート』
自分がどうしたいかということを考えたとき
自分の心にきちんと向き合える
【9:30】1日の予定を創る
送迎にてご到着されたら、まずはその日の予定をご自身で決めて頂くようにしています。
ご自身の大切な時間を、自分で創っていくことは、きっとこれまでも当たり前のようにされてきたはずです。
デイサービスに来たからといって、何もかも与えられるのは違うのではないかと思います。
『介護をしない介護』はすでに始まっています。
人とおしゃべりしながらゆっくりしたいとか、お風呂は午後に入りたいとか、孫に手作りパンを焼いて帰りたいとか、必ずご自身の思いがあるはずですので、その気持ちにしっかり向き合ってみてください。
時には、生まれ育ったふるさとに行きたいなんて事も、ここでは叶ったりします。
【9:45】人と深く関わり心が動く
活動を決め、バイタル測定をします。体温も血圧も測定後は数値を見て、ご自身で記入して頂きます。
今の調子がどうなのか、数値と共に確認し、自分の身体の状態を把握します。
隣にはいつも看護師もいますので、身体のことで気になるところがあれば、何でもお話ししてください。
その後はお好きな席について頂き、活動まで少しの時間ゆっくりなさってください。
次々に皆様が到着されて、今日の始まりの時間を活動の開始まで、まずは他の利用者様方とお過ごしください。
今日も元気で来れたことを互いに確認しあいながら、人との繋がりを実感されることでしょう。
『活動の始まり』
その人だからこその思いを形にできる。そのことを選択していける
これからの時間をしっかり決めて揺れない
【10:00】活動開始
先程ご自身で決められた活動にそれぞれ移っていかれます。
お米を研いだり、下ごしらえをされたり、パンを焼いたり、畑で農作業や作物の収穫をしたり、テラスの植物の手入れなど。
時には味噌や手作り発酵ジュースを作ったり、縫物でマルシェに出す作品作りをしたり、障子・網戸の張替えをご近所様から請け賜ったりと活動は多岐にわたります。そしてこれらにはある共通点があります。
それは、活動をした結果出来上がった生産物が、必ず第三者の手に渡るものになっているという点です。
生産物が第三者の手に渡ると「ある」ことが起こります。
それは・・・受け取った方からの「ありがとう」。
そのひとだからこその思いを形にできる。
そのことを選択していける。
【ランチバイキング】
自分が進みたい方向へ進んでいく
【12:00】出来立ての食事を
昼食はバイキング形式です。お米研ぎ、下ごしらえ等お手伝い頂いたものが並びます。
「今日のお漬物よく漬かって美味しいね、〇〇さんありがとう!」
とか「△△さんの切ってくれたこのお味噌汁の具、ゴロゴロした感じが食べ応えあって私は好きよ!」と言った会話が自然に出てきます。
すると「じゃあ次は、煮物に挑戦してみようかしら」とか「今度は私も下ごしらえの手伝いに入ろうかしら」という声が次々出てきます。
活動の生産物が第三者の手に渡る事の意味がここにあります。そんな雰囲気の中、出来立ての食事をお召し上がりください。
また、ご自身でよそって頂くことのメリットは、好きな分だけ食べられる、必要量をご自身で認識して頂ける、大皿から取り分けて席まで運んで頂く間に唾液の分泌量がものすごく多くなる、結果誤嚥しにくくなる、取りに行くことで身体を動かす機会になる、等々盛り沢山です。もちろん食事を席まで運べない方、うまく取ることが出来ない方には困る事が無いようしっかりお手伝い致します。
最後に、介護施設ながら、上げ膳据え膳ではない事、お詫びいたします。そして、ここにも『介護をしない介護』のエッセンスが入っていることをご承知おきください。
【午後の時間】
眼の前のことをその時の自分の最大限で楽しみたいと思う
【13:30】午後の活動開始
食後しばらくゆっくりされた後は、午後の活動を再開致します。
ここでも朝に決めた予定でお過ごし頂きますが、気分が変わって変更することも、もちろん大丈夫です。そして時には少し横になって休んだりされても結構です。
午前中に捏ねたパン生地が丁度よく発酵。
ガス抜きからの成形からの二次発酵からの焼き。
そしてパンの焼き上がり。
焼き立てはもちろん、時間が経っても生地はしっとり。
マルシェに出す手芸作品作り。
手作りジュース作り。
やること沢山。
タオルなどの洗濯物を干したり、お湯のみを洗ったり。
15時のティータイムの準備をお手伝い頂いたり。
居ないと思ったら、買い出しに出掛けられていたり、カラオケルームで歌っておられたり。
目の前のことをその時の自分の最大限で楽しみたいと思う。
【機能訓練】
進もうとする、越えようとする
【11:30&14:00】機能訓練指導員による体操の時間
身体の仕組みに精通している理学療法士が運動を通じて、健康な身体作りをお手伝いします。
ただ運動をするだけではありません。身体の不調は人それぞれ原因が異なります。
病気はもちろん、食事による栄養の偏り、食事の時間、睡眠の時間、睡眠の質など。
不調の原因は生活の中に隠れています。
食事の時間を変えただけで、腰痛が改善されたなんて事も。その原因は・・・。
運動療法だけでなく、色々なアプローチで健康維持のお手伝いができるスタッフがいます。
【ティータイム】
空や海など自然の中にいることで気持ちを充電できる
カフェにも引けをとらない午後
刺激な感覚的なものを感じ取る。豊かに生きようとする。
基本は焼き立てパンに豆から挽いて淹れたコーヒーのみ。
もちろんパン以外のものも並びます。
その日の気分で、ティータイムを演出。
もちろん全て皆様で手作り。
そこいらのカフェにも引けをとらない・・・。
最後に…
【介護をしない介護】
なぜこんな言葉が生まれ、そしてそれを目指しているのか。
それは誰もが迎えるであろう要介護という状態を、ネガティブなものとして考えるのではなく、例え要介護状態になったとしても、そこからの人生をこれまで通り自分の思うままに生きられるようにできるのが、介護サービスに求められているものだと考えているからです。
介護のサービスを積極的に使うことで、人生のエンディングをより良いものにできたら、サービスとしての価値が評価に値すると思います。
介護=お世話ではありません。もちろんお世話をするという側面も持ち合わせていますが、私たちの介護の定義では、それはあくまでもほんの僅かな部分を指すだけです。ですが世間一般の認識が、「介護=要介護者のお世話」であり、それが現状です。
だからこそ「そうなる前にポックリ逝きたい」という誰もが知っている合言葉になっているのだと思っています。
私たちはそれを変えたいのです。介護というものに対して諦められている現状に一矢報いたいのです。
人は人生の多くの時間を仕事に費やすのだから、やはりそこに誇りを持ちたいし、多くの人に喜ばれたいです。また認められたいとも思います。でも介護の仕事は「助かるし有難い」けど、介護されて「嬉しい」と思われるような仕事ではないのが現状です。人を尊ぶ仕事が、人から尊ばれないという矛盾が介護にはあります。
だからこそ『介護をしない介護』が私たちには必要でした。
冒頭にも書きましたが、All for One 緑町は、介護施設ですが、利用者(要介護者)以外の方もご利用頂けます。むしろ、利用者以外の方々が利用して下さることで、初めて成立していきます。
私たちの目指したい『介護をしない介護』は、決して介護施設という箱の中だけでは完結できないものです。地域の方々が介護施設に自由に出入りしてくださるような文化が出来上がって、初めて完成します。
私たちにとっては、介護する側とされる側という構図は不必要です。人が集まり、その中で役割を全う出来る環境があることで、人と人が支えあう仕組みを介護施設で創ろうとしているだけです。
地域の方々がAll for One緑町にコーヒーを一杯飲みに来ることが地域貢献になり、そのコーヒーを豆から挽いてお出しすることが、利用者の方々のやりがいになるような文化を創りたいのです。
『介護をしない介護』がこれからの介護のスタンダードになる時代はもうすぐそこまで来ています。そこに対してしっかりと準備をして介護サービスとしての価値を確立していくことをお約束させて頂きます。